口唇裂・口蓋裂の矯正治療について
口唇裂・口蓋裂に起因する不正咬合については保険で矯正治療を受けることが出来ます。また育成医療を申請すればその給付も受けられます。
口蓋裂のある場合には上顎の成長発育が多少なりとも障害されるため、上顎の歯列が狭くなり反対咬合や交叉咬合がみられるうえ、歯ならびもかなり悪くなります。上顎劣成長、上顎の狭窄といった問題は、子供の成長の段階にあわせて矯正をしなければならないので、普通5,6才から始めて15才頃まで矯正治療が必要となります。基本的には、①狭窄した上顎を拡大し、②上下顎の成長の不調和を改善しながら、③歯をならべなおして歯列と咬合を正常なものにする、という一連の治療を計画的に進めるということです。また、なかには上下顎の不調和を改善するために、顎骨の外科的手術が゜将来必要となる場合もあります。
【口腔衛生の確保とその重要性】
口の中を見てみると、むし歯がいっぱいあり歯磨きも十分にしていないという患者さんが多いのです。健康な歯は矯正治療を行える前提条件です。確実な歯磨きで口の中の衛生を良い状態にしてください。そうしないと必要な時に矯正装置を装着できなくなります。
【予約時間についてのお願い】
遅い時間では十分な治療時間が取れません、早い時間の予約がとれるよう配慮してください。また来院できない場合は電話で予約を変更してください。
また来院の際は、確認のため必ず保険証を窓口で提示してください。
症例
①主訴 ②診断名または主な症状 ③年齢 ④治療に用いた主な装置 ⑤抜歯部位 ⑥治療期間 ⑦治療費 ⑧リスク、副作用
①唇顎口蓋裂による不正咬合を治すため、③10歳より矯正を始めました。②口蓋裂による上顎の狭窄と叢生、反対咬合があり、④上顎急速拡大装置、チンキャップによる下顎成長コントロールを経て、上下マルチブラケット装置にて歯を配列して、反対咬合、臼歯交叉咬合を正常な咬合にしました。⑤先天欠如歯はありますが、矯正のための抜歯はしていません。⑥治療には5年かかりました。⑧あと戻りの力(上顎を狭くしようとする)が強いので、上顎には長期間使用可能なメタルリテーナーを使用しています。⑦保険治療のため費用の負担は少なくてすみます。長期の矯正治療にもかかわらず新たなむし歯はできず、動的な矯正を終了できたケースです。