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抗加齢医学とは

「老化」という現象は、今まで自然現象として仕方のないものと考えられていました。医師も、病気なら最新の知識や技術を駆使して直そうとしますが、老化による心身の衰えには「年齢が年齢だけに仕方ないですね」というしか術がなかったのです。「抗加齢医学」とは、それをあきらめずに、「老化は治療可能」という考え方を持った医学です。

近年の医学の進歩によって、「老化」のメカニズムが解明されはじめ、老化・加齢も「病気=弱点」と考える時代となってきました。抗加齢医学は、その老化のプロセスそのものをひとつの「病気」と捉え、他の病気同様、その原因を克服することで老化を治療することを目的としています。しかし、その治療法は「不老不死」を意味するものではありません。老化による心身の衰えを防ぎ、健康なままで人生を全うするための、健康長寿を目指す医学なのです。

抗加齢医学は、
(1) 老化のメカニズムの究明、 (2) 老化度判定ドックなどによる診断、 (3) 抗加齢医学に基づく医療の 3 つが主体となっています。抗加齢医療の指導や治療は、厚生労働相が掲げる「健康日本 21 」を実現させるための具体的・実践的な提案といえます。また、日本医師会が提唱する生涯保健事業の理念に合致しており、抗加齢医学の推進者として、かかりつけ医や産業医、学校医の役割は今後ますます重要になると考えられます。一般にもなじみの深い「人間ドック」や「定期検診」などの健康診断、日常的に行われるあらゆる疾患の予防という概念は、医療の中では「予防医学」のカテゴリーに属していますが、そうした意味で、抗加齢医学は、高齢化社会がいよいよ現実のものとなる 21 世紀の「究極の予防医学」と言うことができるでしょう。

抗加齢医療の基本は、食事療法 (サプリメント療法も含む) ・運動療法・精神療法の 3 本柱です。ホルモン補充などの薬物療法は、これらの次として位置付けています。老化度判定ドックの検査結果に基づいて弱点が何であるかを判断し、下記の基本療法を指示していきます。これらの基本療法の中で、何よりも大切なことが、「いつまでも若く元気にいこう」という気力 (スピリット) を持つことです。


(1) 食事療法
抗加齢医学では、食事療法の目的として、(1)生活習慣病の予防(2)成長ホルモンの効果を生かす(3)免疫機能を高める(4)抗酸化作用のある食物の摂取をあげています。

抗加齢医学による加療の効果を最大限に高めるためには、血糖値を低めに維持することが課題です。インスリン様因子-1(IGF-1)と呼ばれる健康を保つのに必要なホルモンのレベルを高めるために、内因性性成長ホルモンの分泌を促進したり、外から成長ホルモンを投与したりします。

インスリンはこのインスリン様因子-1(IGF-1)の産生を抑制するので、食事管理によって血糖値のコントロールを厳格に行う必要があります。基本的には低カロリー食とします。肥満は成長ホルモン放出の妨げとなるので、適性体重を維持するよう心がけます。
運動量と適正体重から計算されるエネルギー摂取量を守ることは極めて重要です。これを長期的に行うことによって、エネルギー消費と糖代謝を安定させることができます。高アミノ酸食品は成長ホルモンの放出を促進するので、良質のタンパク質を多く摂取する必要があります。糖質やでんぷん質を多く含む食品は、急激なインスリンの分泌を促すため、その割合いを減らすべきです。脂肪や塩分の過剰摂取にも注意します。


(2) 運動療法
日常生活において、家事や散歩などで体を動かすことは、最も基本的な運動療法です。運動療法の基本は、(1)負荷トレーニング:筋力トレーニング(2)有酸素運動:ジョギング・ウォーキング・エアロビクス(3)柔軟体操の 3 種類をバランスよく行うことが重要です。  
これらをうまく組み合わせることによって、「体脂肪とコレステロールを減少させる」「成長ホルモンのレベルを高める」「骨密度を高める」「筋力を増強する」「怪我を減らす」「日常の動作を容易にする」「感情を安定させる」「筋肉の萎縮を予防する」「容姿を改善する」「体脂肪を減らす」といった効果が望めます。


(3) 精神療法
加齢にともなう意欲低下、抑うつ状態、神経症、緊張、ストレスの蓄積、睡眠障害などの症状に精神療法は欠かせません。特に身体の免疫システムと密接に関係するストレスにうち勝ち、若々しい気持ちを保つことが大切です。 精神療法がもたらす最大の「果実」は、自分自身で生きようとする意志、健康でありたいという願いを自分の中にしっかりと作り上げることです。


(4) サプリメント療法
健康的な食生活をしていると思われる人でも、各種ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸、抗酸化剤などを摂取することは必要だといわれています。市販されているサプリメントの質や成分はじつにさまざまで、なかには、低品質な成分や吸収性の悪い成分、安価な栄養素を含んでいるものもあって、サプリメントの選択にはある程度の知識と慎重さが必要です。

サプリメントの選択に関しても医師に相談することができれば、まがいものをつかまされたり、効果のうすいサプリメントを高値で買わされるようなことを防ぐことができます。抗加齢医学では、医師もサプリメントについての知識をもつ必要があると考えています。


(5) 薬物療法・特殊医療
抗加齢医学における薬物療法としては、抗酸化療法・免疫強化療法・ホルモン補充療法があります。これらの薬物療法は、基本的には食事・運動療法、精神療法を十分に行ったうえで、必要に応じて施行されるべきです。